【映画感想ディズニー第12回】ミッキーの街の哀話

映画感想

このサイトでは、収集したポストカードを元に管理人が旅の思い出や日常について語っています。今回は、映画感想「ディズニーシリーズ」第12回(通算第19回)。

「聖夜に輝くマウススター」

ミッキーマウスの短編シリーズ第48作。原題は「Mickey’s Good Deed」。1932/12/17公開。クリスマスの夜に音楽で小銭を稼ぐ家無しのミッキーとプルートが、子猫達にクリスマスプレゼントを用意する話。「Good Deed」とは善行という意味。

クリスマスを舞台にした寓話っぽい話で、後に多数制作されるミッキーのクリスマスもの(「ミッキーのクリスマス・キャロル」など)の先駆けと言える。聖夜なのに住む家もなく、健気に路上演奏でお金を稼ごうとするミッキーとプルートは流石にリアルな姿ではなく貧乏設定だろう。俳優としてキャリアを重ね、今や立派な家も持っているミッキーだが、ここに来て下積み時代を思い出すような役の仕事がやってきた、と言ったところか。

さて、極貧設定のミッキーとプルートであるが、劇中では悲壮さを一切感じさせない。極寒の中で元気に楽器を演奏し、お金を貰えなくても落ち込まずに、通りがかりの家の子供達にプレゼントを贈ろうと考える。もはや聖人のようなミッキーの利他的な姿勢は、演技をしているうちに中の人の余裕・裕福さが滲み出てきているからでは勿論ない。そもそもミッキーの内面は、蒸気船ウィリーのようなキャリアの始め(名実ともに貧乏だった頃)から変わっていない。不遇さを僻むことはなく、常に明るく周囲を楽しませるように振る舞ってきた。その気質こそが、納屋ネズミだったミッキーをスターの座に押し上げた原動力であり、これから先もずっと発揮し続けていく彼の才能なのである。

いつもと違う設定の役を演じたことで、かえってミッキーの本質が浮かび上がってくる。そんな風に思わせる、味わい深い作品の一つだった。

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