【レポート】カカオ豆からチョコレート製造にチャレンジ

レポート

このサイトでは、収集したポストカードを元に管理人が旅の思い出や日常について語っています。今回は、夏休み中のミッションだった「カカオ豆からチョコレート製造チャレンジ」のレポート。

(横浜を中心にチョコレート菓子事業を展開する「ショコラボ」の店舗で買ったポストカード。下はカカオの輸入元であるガーナを視察に行った時の写真らしい)

2024年度の夏は、カレンダー上はかなり長期の休みになっている企業が多かった。自分の会社も例外ではなく、9連休という過去最大級の休暇を取ることができた。折角の長期休暇なので、前々から温めていた計画を実行に移すことにした。その計画とは、「カカオ豆から手動でチョコレートを製造する」である。どうしてそんな計画を立てていたのか、理由は二つある。一つは数年前に某Youtuberが「カカオ豆からチョコレートを作る」企画に挑戦していて、その大変さが記憶に残っていた事。そしてもう一つは、「気候変動の影響で2050年にはカカオ豆が育ちづらくなり、チョコレートが高価になる」という話を聞いた事である。どちらも普段は漫然と食べているチョコレートについて改めて考えるきっかけになったが、その理解をより深めるために、自らの手でチョコを作るのを計画していたわけである。

というわけで、早速材料を取り寄せる。今回使用するのは、「dari K」さんの「カカオ豆からてづくりチョコレートキット」。同じことを考えた多くの挑戦者が使用しているメジャーなキットである。

(入っているのは説明書とカカオ豆80g、そしてチョコレート型。説明書には作り方の他、カカオ栽培の歴史なんかも書かれていて勉強になる)

【1日目】

それではチョコレート作り開始。説明書通り、まずはカカオ豆をよく手洗いする。研ぎ汁が濁らないようになるまで洗うらしく、説明書には濁りが取れるまで5分くらいと書かれていたが、結局20分くらいかかった。

キッチンペーパーで豆から水を拭き取った後、フライパンに入れて弱火で焙煎していく。豆が弾けるまで焙煎するのだが、その間ずっとへらでかき混ぜ続けるので割と疲れる。しかもフライパンが大きかったためか、中々豆が割れる音が聞こえてこない。20分くらいやっても変化なしなので、中火にしてみたら突然豆の一部が弾けたのでそこでストップ。冷まして手に取ってみると、素手で皮が剥けるくらいの固さになっていた。

焼けたカカオ豆を皿に移し、今度は豆の皮を一つ一つ丁寧に剥いていく。茶色い皮の中から黒ずんだ塊が出てくる。これがチョコの元らしく、ちょっとだけ香ばしい香りがする。黒い本体に薄皮がこびりついているのが結構あったが、ある程度以上は取れないので無視。また本格的にやるなら胚芽(黒い突起のような部位)も取る必要があるらしいのだが、これも無視した。実際後工程で潰してからはほとんど気にならなくなった。30分ほどかけて、全ての豆の皮剥きを完了。……これからが本番だというのに、既に1時間以上かかってるし、結構疲れてるが、これから大丈夫なのか__?

そして、ここからが地獄の一丁目。一番労力を使うとされる豆砕きの工程である。すり鉢とすりこ木に、皮を剥いたカカオ豆をセット。まずはすりこ木で豆を押し潰していき、細かくなってきたら徐々にかき混ぜる方向にシフトし、豆を粉状になるまですり潰していく。事前情報通り、ここが一番きつい。Youtubeで動画を流し見しながら無心で混ぜていく。

(この日のためにヨーカドーで買ってきたすり鉢とすりこ木)

(開始直後の状態)

(開始10分後。早くも豆が砕けている)

(開始30分後)

(開始1時間後)

(開始1時間半後。粉状に近付いてはきているが、この辺りから変化が遅くなる)

(開始2時間後)

(開始2時間半後)

(開始3時間後)

(開始3時間半後)

開始から3時間半経った所で時間切れとなった。いや、本当に腕が痛いのでこれ以上は無理。だいぶ粉になってきてはいるが、中央の大きめの欠片が中々潰れない状態から進まない。ネットの情報ではこの工程で6時間くらいかかるらしいので、大人しく冷蔵庫に入れ、後日に回すことに。

【2日目】

2日目、冷蔵庫からすり鉢を取り出して作業開始。妻から「すり鉢の底の方の溝が粉で埋まっている」「横の溝を使うといいんじゃない?」というアドバイスを受けたので、大きめの欠片をなるべく側面に擦り付けるようにして作業を続けていく。

(開始4時間後(昨日からの通算)。)

(開始4時間半後)

(開始5時間後。やっと変化が現れはじめた)

(開始5時間半後)

すり潰し開始から約6時間後、ようやく全ての豆を粉状にする事ができた。しかし、ここで終わりではない。続いてはお湯を沸騰させた鍋の中にすり鉢を入れ、ペースト状になるまで湯煎しながら混ぜていく。やる事は変わらないので、お湯が入らないように注意しながらすり潰しを再開。

(開始時)

(開始10分後。色が変わってきた)

(開始30分後)

(開始一時間後)

(開始3時間半後)
無心で混ぜ続けること3時間半、ようやくペースト状になってきた。最後の工程としてここで砂糖を投入するのだが、カカオ100%のチョコにも興味があったので、一つだけ型に流し込み、残りに砂糖を投入。後は再度ペースト状になるまで混ぜ続けるだけなのだが……ここで思わぬ事態が発生する。

まず、砂糖を投入したことでカカオは再び粉っぽい状態に逆戻りしてしまった。それだけならまだしも、湯煎用のお湯が中に入ってしまったのだ。説明書には「お湯を中に入れてはいけない」という記載はあったが、入れるとどうなるのかについてはこの時初めて分かった。水分を吸って固まってしまうのである。ここからペースト状になるまで、また4〜6時間かかるのか。2日目も終わりが近付き、チョコレート製作に回せる日程も無くなってきたというのに。ここで心が折れかけたのだが、その時帰宅した妻が固まった粉を見て何かを閃いたことで、事態は思わぬ方向に動き始める。

(ここからどう打開するんだ…?)

【3日目】

というわけで、カカオの粉を転用してお菓子を作る企画を開始します。どういうことかと言うと、固まった粉が実質カカオパウダーである事に気付いた妻が、それを使ってお菓子を作ればいいと提案したのである。正に天才の発想と言えよう。チョコレートは作れなくなるが、一応カカオ100%のチョコは作ってあるのでまあいいや、と前向きに切り替えていく。

材料は、牛乳30cc・バター170g・砂糖1
40g・小麦粉120g・卵5個・くるみ適量・板チョコ6枚・動物ビスケット一箱に大量のカカオパウダー。

(こらそこ、「板チョコ買ってきたら本末転倒だろ」とか言わない)

①耐熱容器にチョコレート100g、バター50g、牛乳30ccを入れ、レンジ600wで1分加熱。

(ちなみにここからは妻の協力が入っているので、進行が圧倒的に早くなっている)

加熱している間に卵2個と砂糖70gをボウルで混ぜる

溶けたチョコバターを流し入れ、更に小麦粉30gと秘伝のカカオパウダー45gを入れて混ぜる

生地を型に流し込み、180℃のオーブンで30分焼く。

焼いている間に、もう一つのお菓子の仕込みを行う。

②耐熱容器に砕いたチョコレート180gとバター120gを入れて湯煎して溶かす

(それにしても、カカオの湯煎は時間かかるのにチョコになるとあっさり溶けるのは何故なんだろう)

卵3個と砂糖70gをボウルで混ぜ、溶けたチョコバターを入れて混ぜる。

更に小麦粉90g、カカオパウダー10g、くるみを加えて混ぜる。

最後に型に流し込み、上に動物ビスケットを並べて180℃のオーブンで25分焼く。

(動物ビスケットは本当に必要なのか?いや必要だ)

こうして、①ガトーショコラと、②チョコブラウニーが完成!

さっそく試食してみる。
……うん、美味い!ガトーショコラはとろけるような滑らかな舌触りがチョコの甘さを引き立てているし、チョコブラウニーは重厚な甘味の中にクルミやビスケットのサクサクとした食感がいいアクセントになっている。いやー、苦労した甲斐があった。

というわけで、カカオ豆からチョコレート製造チャレンジの結果は、美味しいガトーショコラとチョコブラウニーが完成した、でした。まあ真面目な話、手動でチョコを作るのは本当に大変な事が分かったので、今後はその苦労に思いを馳せながらチョコを食べていきたいと思います。それではお疲れ様でした。

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